2015年1月30日金曜日

菊栽培の経営モデル 1 概要



こんにちは

 自分の経営の見直しの意味も含め、
菊栽培における経営シミュレーション モデルを作成してみました。

 基本条件としては、
一人で営農し生活している場合を想定し、
露地栽培で20aの面積をベースとしています。

 経営的な数字を挙げると
定植の距離を1,575m
採花数 96,750本(理論値)×0.9=87,075本
出荷ケース数 870ケース(100本入)
平均ケース単価 5,500円(農協手数料,運賃 を差し引かれ口座に入る金額)として
収入見込み額 870ケース × 5,500円 = 4,785,000円
となり、ここから経費を引いた金額が所得となります。

 もちろんこの数値は理論値となるため、
出荷ケース数はこの値がMAXと考えるべきでしょうし、
平均ケース単価は品質(等級)や市場の相場により+・- 変動が発生します。
 大きなトラブルが発生することがなければ、十分に見込める数値と考えます。

 以下、具体的なシミュレーション モデルを示して行きたいと思います。

 参考としてこのような定植圃場を想定してみました。

年間の作業日程は概ね以下のようになります。


 
 11月の株伏せ後 6月のピンチ後 あたりで
全く手が掛からなくなるタイミングがあるので
この頃がレジャー チャンスといったところでしょうか。

2015年1月20日火曜日

成長調整剤 3 ジベレリン

こんにちは
1月19日に引き続き、成長調整剤についての第3弾です。

ジベレリン協和液剤

 薬剤の効果としては、開花促進,草丈伸長促進となります。
 この内、私は草丈伸長促進の効果を期待し使っています。

 私が作付する品種のうちで最初の出荷となる品種が日輪です。
 日輪は一般的にハウス内で栽培され、4月上旬に定植し7月上旬に出荷、
東京の盆に合わせます。

 しかし私の作型は、露地栽培で5月初旬に定植し7月の中旬の出荷となります。
 この作型ですと定植から出荷時期までの成長期間が短いため、
採花時の草丈がギリギリかもう「一伸び欲しい」という感じになります。
 最上位等級の「秀」とするためには出荷時の丈が85cm必要となるのですが、
長さが少しでも足りないと一つ下の「優」以下になってしまいます。
 よって この「一伸び欲しい」を補うためにジベレリンを使っています。

使用時期:5月20日頃とその5月30日頃の2回散布。
使用濃度:50ppm(100倍希釈)

 日輪の定植時期は5月初旬ですが、
この頃は暖かくなってきたとはいえ最低気温は0℃近くなることもあり、
霜が降りることも度々あります。
 よって路地に定植する場合は5月の中旬くらいまではトンネルを掛けて
霜よけをする必要があります。
 トンネルを外す5月の20日頃になると、草丈もトンネルに着くくらいになっており、
成長の勢いもついてきています。

 この成長が盛んになってきたタイミングで、
ジベレリンを散布するのが効果的ではないかと考え、
5月20日頃1回目の散布をします。
 1回目の効果が切れるか切れないかというタイミングが10日後くらいと予測し、
2回目の散布を5月30日頃に行います。

 ジベレリンで草丈の伸長を促進するという事は、
薬剤が効いている間は徒長気味に伸長しているという事です。
 菊の理想的な草姿としては上部の節間が詰まっている方が望ましいため、
採花時期が近付いてきたときに草丈が足りそうもないからとジベレリンを散布すると、
草姿を崩してしまうことになります。
 よって、採花時の草丈に不安がある場合はなるべく早めにジベレリンを散布し、
草姿に影響が少ない部分を徒長気味にして、草姿のバランスをとる方が良いと考えます。

 逆に草丈が十分に確保できる品種や作型では、ジベレリンを散布する必要はありません。

2015年1月19日月曜日

成長調整剤 2 ビーナイン

こんにちは
1月13日に引き続き、成長調整剤についての第2弾です。

ビーナイン顆粒水溶剤(水溶剤80)

薬剤の効果としては、節間伸長抑制,花首の伸長抑制となります。
この内、「花首の伸長抑制」 が主な使用目的となります。

 一般的に店先に並んでいる一輪咲きの菊を見ると、
上部の葉の直ぐ上で花が咲いているイメージが有ると思いますが、
ビーナインによる処理をしない場合は首が伸びて葉と花が離れて咲いてしまいます。
イメージとしては下の写真の用な感じです。

         適正処理(千穂)

          首長(千穂)


 首長になると商品価値としては低くなってしまうため、
適期にビーナインを散布して首が伸びすぎるのを抑え、草姿を整えます。

 また、下部の葉に比べ上部の葉が小さくなる(うらごけ)品種では、
上位葉が展開し始める頃にビーナインを散布することにより、
上位葉のボリュームを出し、草姿を整える作用もある。

 これはビーナインにより伸長を抑制されるため、
草丈が伸びようとする成長エネルギーの行き場が縦から横へ移るためと考える。
 これは風船をイメージすると解りやすいかと考えます。
空気を吹き込むと縦に伸びようとする風船が、
縦方向を押さえつけると横方向に膨らむ現象と同じような動きとなります。

 散布倍率は500倍~5000倍となっており、散布回数は2回以内となっています。
 実際の散布倍率や散布回数は品種により効きが違うため、
JA等の指導を参考にして散布します。

 諏訪地域では1000倍~800倍で1回~2回の散布が殆どですが、
盆前の主力品種である千穂等の首が抜けやすい品種では、
2回の散布では首の伸長を止められないため、仕方なく3回散布しています。

千穂は上位葉が小さくなりやすいため、
1回目:7月3日 上位葉のボリュームを出し、草姿を整える目的も含め、まだ蕾が見えない内に。
2回目:7月10日 蕾を1つに決める作業が始まるタイミングで
3回目:7月25日 出荷が始まる前に

 私の作型では、上記日程で希釈倍率800倍、
0.16ℓ/m(桁の長さに対し)の量を目安に散布すると概ね良好な草姿になります。
 2014年の千穂の出荷成績では、最上位等級「秀」の割合が85%となっています。

 同じ品種でも標高により効きが違うという説もあります。
 標高の低い所の方が効きが悪いようで、
より濃い溶液を散布する必要があるようです。

 基本的には上記の草姿を整えることが主な使用目的となりますが、
この他にも伸長抑制させる特性から以下のような使い方もあります。

 茎が細く曲がりやすい品種では まだ草丈が小さい内に散布し、
一旦伸長を押さえつけることにより茎の太さを確保し、茎をしっかりさせる。

 また、茎が細く草丈が少し足りない品種では、
一旦伸長を押さえつけ茎の太さを確保することにより、
その後の伸長を促進させる。
 「高くジャンプするために一旦低くかがむ」 ようなもの
と考えると解り易いかと思います。

 樹勢の旺盛な品種ではピンチするまでに節間が間延びしてしまうことがあり、
節間が遠くなってからピンチをすると先端に近い方から出た側枝の勢いが強くなり、
2~3本立てにした時のバランスが悪くなります。

   ピンチ時の節間が適正な場合

   ピンチ時の節間が間延びした場合

 このためにピンチをする高さまでの節間を調整するためにも使うことができます。

その他として 経験値的な使い方なのですが、
柳芽(花首が細く長くなってしまう現象)が出やすい品種では、
草丈の小さい内に1回ビーナインを800倍くらいで散布しておくと、
柳芽の発生を抑えることができます。

次回はジベレリンについてです。

2015年1月13日火曜日

成長調整剤 1 エスレル

おはようございます。

 菊栽培をする上で欠かせない薬剤に成長調整剤と言われるものが有ります。
 商品名と使用目的は以下の様なものになります。

エスレル10 : 開花抑制,早期着蕾防止,(脇芽の発芽促進)
ビーナイン顆粒水溶剤(水溶剤80) : 節間伸長抑制,花首の伸長抑制
ジベレリン協和液剤 : 開花促進,草丈伸長促進
ビーエー液剤 : 脇芽の発芽促進
オキシベロン : 挿し穂の発根促進

となります。

 この中で、ビーエー液剤は諏訪地方では殆ど使っておらず、エスレルで代用しています。
 オキシベロンは諏訪地方では一般に使われていますが、
根出しで困ったことが無いので私は使っていません。

 ということで、ここではエスレルビーナイン,ジベレリンの使い方に
的を絞って述べたいと思います。

エスレル10
 薬剤の効果としては、開花抑制,早期着蕾防止,(脇芽の発芽促進)となります。
 この中で主に期待する効果としては、早期に異常着蕾することを防止し、
適期に揃って開花するように着蕾時期をコントロールする、ということになります。

 着蕾=花芽分化と言えるかと思いますが、
花芽分化とは成長点に蕾の初期段階が形成されることです。
 つまり 花芽分化が始まった時点で、
早期着蕾防止や開花抑制といった効果は期待できなくなります。

 よってエスレルの使用時期としては、
花芽分化が始まる前までしか効果が無いということになります。
 開花抑制により開花時期をコントロールするには、
狙った適性時期まで花芽分化を起こさないようにする必要があります。

 花芽分化が始まった時点から一定量の葉(数十枚)が展開した後、
蕾が形成され開花となります。
 花芽分化を起こさないように、
10日~14日以内の間隔でエスレルを散布し、最後散布のタイミングを図ってやれば、
エスレルの効果が切れて後、一定期間で花芽分化、
その後一定期間で開花と推察することができます。

 よって エスレルの最終散布日と開花日との関係を集計すれば、
開花時期をコントロールすることができると考えます。

 気象条件により開花時期がバラつくとの話もよく聞きますが、
これまでエスレルの最終散布日を意識的にコントロールした中では、
気象条件によるズレというものは殆ど感じられません。
 この辺りのデータによる検証も今後する必要があるとは考えています。

 エスレル散布のタイミングとすれば、
仮植前: ピンチ後の側枝の芽吹きを良くすることを目的とする。
 「ピンチ後に散布すると芽吹きを助長させる」という指導ではあるが、
説明書にある散布間隔10日~14日ということを考えると、
1週間程度の間であれば十分に効果は継続していると考えられる。

 仮植してから散布するよりも、プラグトレーに苗が有る間に散布する方が
小さい面積への散布となるため、薬剤の節約になる。

 ノーピンの場合: 仮植前の散布から14日以内の間隔で散布し、
盆前までの出荷品種では最終散布が4月15日~4月30日。

 定植ピンチの場合: 仮植前及び定植前、以後14日以内の間隔で散布し、
最終散布は6月20日~6月30日。

 最終散布時期は、出荷時期や品種により調整します。

散布時の希釈倍率:500倍

ビーナインとジベレリンは次回以降に書きたいと思います。

2015年1月2日金曜日

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます

 あっという間に新年も2日が終わろうとしています。

 菊栽培は冬の間も苗の管理があるので、
正月でも完全オフというわけには行かないのですが、
出来る作業は年末に済ませ
正月はなるべくゆっくり過ごせるようにしておきました。

 といってもハウスの換気やトンネルの開け閉めくらいはするのですが、
元日の昨日は朝から雪が降っており寒い日だったので、
トンネルの開け閉めもせず ゆっくり過ごしました。

 こちらのブログは新規就農を考えておられる方などに参考になればと思う
技術的な内容を中心に書き込めればと考えておりますが、

ブログはもう一つ展開しており

「ぐーたら父ちゃんの百姓日記」
http://ameblo.jp/100show-usagi

こちらは農業や日々の気づいたことなどを綴っています。

 ちょっとしたアイディア的なことも書いていますので、良ければ覗いてください。

今年もよろしくお願いします。