1月13日に引き続き、成長調整剤についての第2弾です。
ビーナイン顆粒水溶剤(水溶剤80)
薬剤の効果としては、節間伸長抑制,花首の伸長抑制となります。
この内、「花首の伸長抑制」 が主な使用目的となります。
一般的に店先に並んでいる一輪咲きの菊を見ると、
上部の葉の直ぐ上で花が咲いているイメージが有ると思いますが、
ビーナインによる処理をしない場合は首が伸びて葉と花が離れて咲いてしまいます。
イメージとしては下の写真の用な感じです。
適正処理(千穂)
首長(千穂)
首長になると商品価値としては低くなってしまうため、
適期にビーナインを散布して首が伸びすぎるのを抑え、草姿を整えます。
また、下部の葉に比べ上部の葉が小さくなる(うらごけ)品種では、
上位葉が展開し始める頃にビーナインを散布することにより、
上位葉のボリュームを出し、草姿を整える作用もある。
これはビーナインにより伸長を抑制されるため、
草丈が伸びようとする成長エネルギーの行き場が縦から横へ移るためと考える。
これは風船をイメージすると解りやすいかと考えます。
空気を吹き込むと縦に伸びようとする風船が、
縦方向を押さえつけると横方向に膨らむ現象と同じような動きとなります。
散布倍率は500倍~5000倍となっており、散布回数は2回以内となっています。
実際の散布倍率や散布回数は品種により効きが違うため、
JA等の指導を参考にして散布します。
諏訪地域では1000倍~800倍で1回~2回の散布が殆どですが、
盆前の主力品種である千穂等の首が抜けやすい品種では、
2回の散布では首の伸長を止められないため、仕方なく3回散布しています。
千穂は上位葉が小さくなりやすいため、
1回目:7月3日 上位葉のボリュームを出し、草姿を整える目的も含め、まだ蕾が見えない内に。
2回目:7月10日 蕾を1つに決める作業が始まるタイミングで
3回目:7月25日 出荷が始まる前に
私の作型では、上記日程で希釈倍率800倍、
0.16ℓ/m(桁の長さに対し)の量を目安に散布すると概ね良好な草姿になります。
2014年の千穂の出荷成績では、最上位等級「秀」の割合が85%となっています。
同じ品種でも標高により効きが違うという説もあります。
標高の低い所の方が効きが悪いようで、
より濃い溶液を散布する必要があるようです。
基本的には上記の草姿を整えることが主な使用目的となりますが、
この他にも伸長抑制させる特性から以下のような使い方もあります。
茎が細く曲がりやすい品種では まだ草丈が小さい内に散布し、
一旦伸長を押さえつけることにより茎の太さを確保し、茎をしっかりさせる。
また、茎が細く草丈が少し足りない品種では、
一旦伸長を押さえつけ茎の太さを確保することにより、
その後の伸長を促進させる。
「高くジャンプするために一旦低くかがむ」 ようなもの
と考えると解り易いかと思います。
樹勢の旺盛な品種ではピンチするまでに節間が間延びしてしまうことがあり、
節間が遠くなってからピンチをすると先端に近い方から出た側枝の勢いが強くなり、
2~3本立てにした時のバランスが悪くなります。
ピンチ時の節間が適正な場合
ピンチ時の節間が間延びした場合
このためにピンチをする高さまでの節間を調整するためにも使うことができます。
その他として 経験値的な使い方なのですが、
柳芽(花首が細く長くなってしまう現象)が出やすい品種では、
草丈の小さい内に1回ビーナインを800倍くらいで散布しておくと、
柳芽の発生を抑えることができます。
次回はジベレリンについてです。
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