2014年10月31日金曜日

株堀りと株伏せ

 こんにちは
 今日は朝から雲が多く、今は空全体が雲で覆われ薄日が当たっている程度です。
 今夜から日曜日にかけては雨の降る時間もあるようです。


 作付計画と防除計画が出来上がれば、
来年に向けての最初の作業「株掘りと株伏せ」に入りますが、
その前に もう一つ、育苗ハウスの中の配置を決めてしまいたいと思います。

 このように株伏せと仮植を配置する予定です。

 では実際に株掘りと株伏せについて、どのように作業を進めていくのか説明します。

・株掘り
 収穫後に枝などが伸び株を扱うのに邪魔な部分は、刈払い機等で刈り込む。

 鍬等で株を掘り起こす。

 余分な土を振るい落とす。


 ※ トラクターに掘り機を付けて、この作業を一気にこなす方もいます。

・調整
 雑草が絡みついている場合は取り除き、伏せ込み安い長さに調整します。
 (私の場合は10cmくらいを目安にしています)
 白さび病等の予防のため、葉はなるべく取り去ります。


 ※ 私は余分な土をわりとしっかり落としますが、
  全く落とさず掘り返したまま土に伏せてしまう方もいるようです。

・伏せ込み
 ビニールハウス内の株を伏せ込む場所に肥料を撒き、土と良く混和させる。
 今年は、1.2m✕8m✕2通り のところに以下の肥料を撒く予定。
  完熟堆肥    120kg
  緩行性化成肥料  0.7kg
  化成肥料     0.3kg
  炭酸苦土石灰   6kg

 トラクター等で肥料を混和し土が柔らかくなったところへ、
株の丈くらいの深さに土を掘り、株を並べていきます。
 

 1回に並べる幅は適宜調整してください。
 掘った土を株の上にかぶせる。
 ※ この時に根の間にも土が入るよう、株を揺すぶったりしながら土をかけていく。
 倒れている株がある場合は起こし、
丈が短い等で沈んでしまった物は周辺の株と同じ高さにに引き上げ、
なるべく平らになるようにする。
 

 理想とすれば、株の先端が土の表面から少し出るくらいにする。
 完全に埋めてしまうと、枯れたり腐ったりしてしまうようです。

 株伏せの作業をしたら、
午前・午後の1回ずつくらいは水を十分に掛けておきましょう。
 トンネルを掛け、夜間に凍りそうな日は保温材を掛けておきましょう。
 ノーポリ1枚+ハイマット2枚掛けています。

 以上で 株伏せの作業が完了します。

2014年10月29日水曜日

防除計画の作成

今日は防除計画作りです。
防除計画を作るときに意識していることがあります。
基本パターンを作り、回していく
基本パターンは1ヶ月を5パターンに分けて、6日周期で薬剤散布する
ということです。

以下に示すものは、
菊で主に注意すべき病害虫に対する対策と、
薬剤を効果的に効かせるために注意すべき点です。

害虫
・オオタバコガ,ヨトウムシ等
 満月の日にBT剤を入れ、孵化したばかりの幼虫を叩く。
 満月の2回前(12日前)にフェニックスを入れ、老齢幼虫を退治しておく。
 また、満月以前に孵化した若齢幼虫も叩く。
 満月の次の回(6日後)に、スピノエース・ディアナSC・プレバソンのいずれかを入れる
・アブラムシ・アザミウマ
 上記チョウ目害虫対策に加え効果のある薬剤を毎回入れる。
・ハダニ
 上記チョウ目害虫対策の合間に2回組み込む。
 ①成虫に効果のある薬剤と バロック・テデオンのどちらかを混用
 ②卵・幼虫に効果のある薬剤
 の2グループに分け、各グループ1回ずつ入れる。

病気
・白サビ
 なるべく系統の違う薬剤を毎回入れる。
 薬剤による汚れが心配ない期間は、硫黄剤でローテーションする。
・斑点細菌病
 定植後にスターナを1ヶ月に1回程度入れる。

薬害対策として
 乳剤を2剤以上混用しない。
 乳剤はフロアブル・水和剤と混用する。
 展着剤は、乳剤やフロアブルを使うときは使用しない。
 (ただし、特定の用途がある場合は必要に応じ使用する。)
 乳剤以外でも薬害を起こしやすい薬剤と乳剤は混用しない。

といった内容を考慮して組み上げた基本ローテーションが以下のとおりです
 今年もほぼ同様のローテーションで散布し、病害虫による被害は最小限に抑え込めた感じです。

 圃場が露地であるため、害虫は圃場の外からも入ってきて食害が必ず発生します。
 しかし、1本目に食害されるのは仕方ないとして、
2本目・3本目に被害が広がらないよう抑えこむという事を重視しています。
 圃場を良く観察し、病害虫の発生を早く見つけて必要に応じて叩く、という話もよく聞きますが、
私の場合はなかなか目を配りきれないので(基本 ぐーたら ですから)、
定期的に防除をして病害虫の密度が高くならない内に抑えこむという方法をとっています。
 病害虫の密度が高くなってから抑えこむのは大変ですし、
かえって散布回数や量が多くなることもありますし、
高い薬剤を使わなければいけなくなることもありますので、
定期散布で常に密度を抑えておく方が、コスト的にもメリットがあると思います。

このローテーションを基に、散布日まで入れた予定表を作成し、
散布量の見込みを折込み集計すれば、年間で使用する量と金額の見込みを計算できます。

2014年10月28日火曜日

作付け計画の補足

 昨日の内容について少し補足したいと思います。
補足内容は2つあり、1つ目は規模について、2つ目は計画の重要性についてです。

 1つ目の規模についてですが、もう既に菊生産をしている農家の方から見れば
「なんで こんな小さい規模でやっているの?」
と思うくらい、昨日書いた計画の面積は小さいのではないでしょうか。

 以前は実家で45aほどの面積でやっていましたが、
今年は労働力が私一人、子供を二人育てながらですので、
今年1年やってみて1人で回せるのはこのくらいの面積(17a)までかなという感触です。
 おそらく、私の現状が菊生産の最小規模と考えられるのではないでしょうか。

 いきなり大規模で農業を始めるのは難しいと思いますので、
まずは家族経営からという観点から見ていった時に、
労働力と作付面積と出荷箱数(Max)の目安は以下の通りと考えます。
単身:20a 740箱
夫婦で1人が専業:30a 1000箱
夫婦(2人):45a 1500箱
(30a,45aはブームスプレーヤの通路を考慮し、作付数量を減らしている)
 この目安は かなり効率よくやった場合で、使える農機具や環境により変わります。

 売上高は上記の出荷箱数に単価を掛ければ得られますが、
野菜等 他の作物を生産している方から見ると売上高が低いと思われるでしょう。
 しかし作付面積が小さくて済むため、
大きい農機具などは大きい物が必要ないことや、
苗を自家増殖できることなどあり、他の作物に比べ経費が想像以上に少なくて済むため
利益率がかなり高いと言えます。

 2つ目の計画の重要性については、2011年に栽培方法を大幅に変更しましたが
2010年までの平均と比較してみますと、
売上額で15%アップ 作業負荷で50%ダウン を実現しました。
 この改善を実現するためには、作業の見直し,情報収集,
実現するための具体的な計画が必要不可欠でした。

 菊は高い技術を必要とする作物であるとも言え、
「計画次第で数十万円からの収入の違いが出る」
ことは身を持って体験しているので、
 確実な収入を得るには計画が非常に重要な要素であると感じています。

2014年10月27日月曜日

まずは来年度の作付け計画

今日も昨日と同じような天気で、朝は晴れていたのですが午後になって曇ってきました。
明日の最低気温はついにマイナスになるとの予報が出ています。

 今日は、来年度の作付け計画の立て方について書きたいと思います。
 菊の栽培方法については、色々と聞いたり調べたりしてみると、地方や個人によってかなり違いがあるので、ここに書く内容は「私のやり方」と いうことで見てください。

 私の作付する圃場については、面積合計1720㎡(17a)、定植する畝の距離合計1350mとなります。
 畝は長さ45m、畝数は30本であり、ここに1目18cmが3目並んだ(幅54cm)フラワーネットを張り、3目のうちの両側のコマに1コマに5本収穫できる計算で定植します。
 フラワーネットは生育期間中に緩まないよう、かなり引っ張って張るため長さ方向に伸びてしまい、約19cmピッチとなります。
 この条件から1mあたりの収穫数は
1m÷ 0.19m✕5本✕2条=52.63本/m
となり、 45mの畝1本では 2368本 収穫できる計算となります。

 私の場合は全て露地栽培ですので、品種による開花時期の違いを利用して、品種の組み合わせで出荷タイミングを決めていきます。
来年度の予定では5品種を組み合わせて、7月中旬から10月初旬までの出荷体系を構築します。

 では実際にどのように計画をたてるかですが、
1. 圃場図に作付する品種ごとの割付をする。
2. 割りつけた植え付け距離と過去の出荷データを基に、ピークの出荷量等を考慮しながら出荷の予定をシミュレーションする。
 ※ 1. ・2. を繰り返し最終的に出荷計画を決定する

3. 出荷計画を基に定植に必要な苗の数量を計算し、数量や日程等の詳細な計画を作る。

 これで来年度の計画の骨格が出来上がります。

2014年10月26日日曜日

菊生産の仕事の概要

昨日、一昨日に続き、今朝は部屋の中に眩しい光が差し込む好天のようだったのですが、午後からは雲に覆われて来ており、夕方には雨が降る予報が出ています。

さて、昨日に引き続き私の仕事である菊生産についてです。
菊の生産者の仕事はどんなことをしているのかということで、
育苗から出荷までの主な流れを説明します

1. 収穫後に残った株を掘り起し、根や茎の余分なところを取り去り、
   ビニールハウスの中の土に伏せ込んでいく。
2. この株を冬の間、温度・水分等に注意して管理しておくと
 株から芽が伸びてくる。
3. この芽を摘み取り、調整し、培土に挿しておくと根が生えてくる。
4. この発根した苗を仮植する。
5. 仮植した苗の芯を摘む(ピンチする)と、
 茎と葉の付け根の間からワキ芽が出てくる。
 (更に増殖する場合は、2. と5. から出る穂を採り、3.~5.を繰り返す)
6-1. この脇芽を伸ばし適度な長さになったところで、苗を堀上げ
6-2. 定植する。
   潅水,脇芽の除去,病害虫防除 等の管理をする
7-1 出荷までには1mを超える草丈にする。
7-2. 適当な咲き前となったところで収穫する。
8. 病害虫による不具合等の選別をし、10本の束にした後、
 10束100本を標準にして箱詰めする。
9. JA等へ出荷する

そして、下の図が私の大まかな1年間の作業スケジュールとなります。
12月~1月もビニールハウス内の温度管理等あるので、結局1年中何かしら作業しているんですよね。

2014年10月25日土曜日

今まで意識してきたこと

おはようございます。

昨日は久しぶりに晴れ、日中は温度も上がりポカポカ陽気となりました。
午前中は下の子の音楽会、午後は上の子の授業参観と、仕事とは別のスケジュールいっぱいの一日でした。
(こういったものって意外と疲れるものなんですね)

さて、仕事の話ですが
現在の仕事、菊の生産を始めた当初から考えていた事がありました。
それは、自分が仕事を覚えていく上で、
「新しくこの仕事を始めようとしている人に確実に教える事ができるように準備しておこう」
ということです。

これはどういうことかといえば、
「教わったことは、他人教えて初めて自分の知識となる」
と だいぶ前に誰かに聞いた事があり、実際にこの言葉を意識しながら色々なことを学んでいると、
「誰かに伝えるためには 自分が得た知識をもう一度整理し直して、相手がイメージしやすい形に再構築しないと 正確に伝わらない」
と感じていました。

これらの事から、いずれはこの仕事を始めたい人の「マニュアルを作れるようにしよう」ということを常に意識してきました。
現段階では未だマニュアルという形にはなっていませんが、ある程度のデータ等は蓄積できて来ました。
このような取り組みを評価していただき、2013年2月に行われた プロジェクト活動コンクールの県大会で、最優秀賞(県知事賞)をいただけたのではないかと考えています。


今後 農業を志そうとしている方に、
「花き生産という選択肢もあるんだ」
という考えを持っていただけるよう、情報を発信していきたいと思っています。

2014年10月23日木曜日

はじめまして

はじめまして
まずは自己紹介を少しさせてい頂こうと思います。

 13年の会社勤めをした後脱サラし、2004年より就農して父母の代から行っていた菊生産を始めました。
 就農以来集めたデータや情報を基に生産方法を改善し、省力化と収入増を同時に実現しました。
 この内容は、2013年2月に開催された「明日の長野県農業を担う若人のつどい」というプロジェクト活動コンクールにおいて発表し、最優秀賞(県知事賞)を頂き、県代表として関東ブロック大会でも発表させていただきました。
 また、2013年より始まった「茅野市農業品目別アドバイザー制度」において、菊の品目別アドバイザーに委嘱されました。
 現在は訳あって実家を離れ一人で菊生産をしながら、父子3人で暮らしています。

 このブログでは、10年間で蓄えたノウハウを これから農業を目指そうと考えている皆さんに伝えたり、また自分のレベルアップにつなげたりといったことができればと考えています。

 私の住んでいる長野県茅野市は八ヶ岳の西麓に広がる高原地帯にあり、涼しい気候を利用した野菜や花きの栽培が盛んな所で、私が菊栽培をしている畑は標高約1000mのところにあります。

写真は菊を収穫した後の畑の写真です。奥の右側に蓼科山、左に車山が見えます。
今日は雨が降っているので、残念ながらどちらの山も見ることはできません。

マメに更新しようと思いますのでよろしくお願いします。