2015年2月25日水曜日

最初の1年間で用意する物

こんばんは

 2年目からある程度まとまった収入を得るために、
1年目の里親研修期間の内に必要な資機材を用意します。

 以下に必要となる資機材の例を挙げてみます。
 金額の入っている物は新品で購入した場合の目安ですが、
中古品で済むものは中古で、
借りることができるものは借りても良いと思います。

 実際、私も昨年はトラクターをお借りして耕しましたし、
ビニールハウスもお借りして育苗しました。

 最初は使えれば良いというレベルから始め、
余裕ができた時に足りない機材を買い足すのも手かと思います。

定植圃場 20aとして

圃場 20a(定植圃場)+10a(ビニールハウス+機材置き場等)
※圃場を借りる場合の要件は市役所や普及センターに確認してください。

パソコン:データを管理するために必要です

ビニールハウス 5.4m×30m ×2棟
 :160万円×2棟=320万円(工事費込み)
トラクター 130万円~
マルチャー 50万円
作業場
フラワーバインダー or 結束機&下葉取り機 370万円 or 120万円
トラック(軽トラで十分、できれば4WD)90万円~
刈払機 4万~

肥料(株伏せ床,仮植床,定植圃場)20万円
トンネル支柱 @160円×250本=4万円
トンネル被覆材 ノーポリ,
ハイマット,幅230cm×25m @11000円
保温シート(挿し芽用)

田引糸

揚水ポンプ等 灌水装置一式 7万円
背負い動噴 4万
農薬 60万円
剪定鋏(株調整用)1000円
収穫袋、コンテナ等 2000円

防草シート(挿し芽の下に敷く) 1万円
芽切鋏 1000円
プラグトレー 3万円
メトロミックス 4万円
発泡スチロールの箱 大小数個

仮植用 穴あけ器(自作)1万円
苗置台(自作)1000円
アルミブリッジ 1万円
枕木(自作)2000円

肥料散布機
生分解性マルチ(95cm幅) 33000円
イボ支柱 Φ26×135cm 850本 27万円
       Φ35×135cm 140本 
杭打ち機
フラワーネット □18cm×3目 6万円
板(自作)2500円
定植用 穴あけ器(自作) ノーピン用&定植ピンチ用 3000円
動噴,薬液タンク,ホース,竿,ノズル 等 防除用具一式 15万円
ベタ掛けシート 2万円
小トンネル支柱 7000円

きく切鎌 2000円~
収穫台車15000円
PPゴザ 1万円


結束紐 2500円
作業台
出荷箱 18万
ライス紙 4000円
クラフトテープ 630円
出荷箱組立台(幅広のカラーボックスでも良い) 2000円
桶(水揚げ用)5000円

除湿器(エアコンがあれば不要)
扇風機

頭に浮かぶ範囲で上げてみましたが、
他にも細々とした物で必要な物が出てくる可能性はあります。

1年目はこのような資機材を揃え、
出来るだけ体制を整えることが大事です。

2015年2月22日日曜日

薬剤ローテーションの必要性 2

こんにちは
今日は一日 どんよりとした天気です

 前回のローテーションの必要性を考慮した上で、
基本ローテーションを作成した考え方について述べてみたいと思います。

基本ローテーションは2月18日にUPした物です。

 農薬散布の時に1剤ずつ分けて散布するのは大変なので、
複数の薬剤を混合して散布します。

 混合するときに薬剤を決める上で、薬害を避けるために幾つかの注意点があります。
・乳剤を2剤以上混合しない
・乳剤以外でも薬害を起こしやすい物は乳剤と混合しない
・混合する薬剤の種類はなるべく少なくする。
・薬害を起こしやすい薬剤を使用するときは展着剤の使用を避ける。
等です。

次に組み合わせについてです。

 基本的に1回の散布で混合するのは
殺虫剤・殺ダニ剤 で2種類
殺菌剤で1種類
合計3種類の薬剤の混合を基本と考えています。

 全ての病害虫を防除することは難しいので、
主要病害虫に的を絞り組み合わせていきます。

 害虫としては
・アブラムシ
・オオタバコガやヨトウ虫等チョウ目(鱗翅目)の幼虫
・アザミウマ
・ハダニ

 病害としては
・白さび
・斑点細菌病

 何事に於いても まず基準を作らないと始まらないので、
チョウ目の幼虫に注目して基準を作りたいと思います。

 チョウ目の駆除において非常に有効であると言われるBT剤ですが、
孵化から1週間以内の若齢幼虫に対しては有効である反面
老齢幼虫には殆ど効果がないとのことなので、
BT剤のゼンターリを
チョウ目の産卵のピークといわれる満月の日に合わせ散布することとします。

 満月は30日周期で巡ってくるため、1週間以内の防除体系を構築するため
6日×5パターン=30日 を1回のローテーションとする。

 BT剤は老齢幼虫には殆ど効果が無いため、
あらかじめ老齢幼虫にも効果のある薬剤で退治しておく必要があります。
 そこで比較的老齢幼虫にも効果があり、2週間ほど効果が持続するという
フェニックス顆粒水和剤を
満月の2回手前(12日前)で散布します。

 満月の日に散布したBT剤で駆除できなかったモノを叩くため、
満月の次(6日後)に
プレバソン フロアブル または
ディアナSC フロアブル,スピノエース顆粒水和剤を散布します。

 プレバソンはハモグリバエにも適用があり、
ディアナSC,スピノエースはハモグリバエ,アザミウマにも適用があります。

 途中に1回、ジェイエースを入れます。
ジェイエースはオオタバコガの他にも
アブラムシ,アザミウマ,ハモグリバエに適用があります。

チョウ目は大体この位で殆ど駆除できると考えます。

アブラムシは適用のある薬剤をなるべく違う系統で毎回入れます。

アザミウマはアブラムシ等となるべく共通で使用できる薬剤で構成します。

殺ダニ剤は殺虫剤が1種類のところに組み込みます。

 バロックやテデオンは雌の成虫に掛かると、産んだ卵がふ化しない特性があるため、
他のダニ剤と組み合わせて、月1回 使用し密度が高まるのを抑えるようにします。

殺菌剤は系統の違う薬剤を、薬害に注意しながら組み込みます。

 以上を考慮しバランスを見ながら組み立てたものが
基本ローテーションとなります。

2015年2月19日木曜日

薬剤ローテーションの必要性 1



こんばんは 

 防除における薬剤ローテーションの必要性について、
農薬の一つ 殺虫剤について例を挙げて説明しようと思います。

殺虫剤の効き方による分類としては以下のようなものがあります。

・神経伝達系の阻害
・呼吸阻害(エネルギー代謝阻害)
・生合成系の阻害
・昆虫ホルモンの制御
・消化管に作用する結晶毒素(BT)
・筋細胞に作用

詳細については「農薬工業会」のHPを参照してください。
http://www.jcpa.or.jp/qa/a4_07.html


アブラムシを例に挙げますと
 アブラムシは生まれて一週間ほどで成虫となり、
毎日2~3匹ほどの卵を産むようになり、
1か月ほど産卵し続けるそうです。

 成虫と幼虫は数十~数百匹の集団を作り、
新芽や葉裏に集まって汁を吸うそうです。
 防除のために、アブラムシに登録のある
系統の違う薬剤を5種類、A、B、C、D、E、を用意し、
防除の条件を以下のように考えたとします。

・それぞれの薬剤が98%は駆除でき、のこりの2%は感受性がないとする。
・散布周期を6日に一回とし、次の散布までに個体数は20倍に増えるとする。
・仮に圃場内に1,000匹のアブラムシがいるとする。

1回目の散布
Aの薬剤を規定倍率で希釈し、散布する。
しかし2%は感受性の無い個体がいるため、20匹が残る。

6日後までにまた20倍に増えるとして
20匹×20=400匹

2回目、Bの薬剤を同様に散布
同様に、2%は感受性の無い個体がいるため、8匹が残る。

6日後までにまた20倍に増えるとして
8匹×20=160匹

3回目、Cの薬剤を同様に散布
同様に、2%は感受性の無い個体がいるため、3.2匹が残る。

6日後までにまた20倍に増えるとして
3匹×20=60匹

4回目、Dの薬剤を同様に散布
同様に、2%は感受性の無い個体がいるため、1.2匹が残る。

6日後までにまた20倍に増えるとして
1匹×20=20匹

5回目、Eの薬剤を同様に散布
同様に、2%は感受性の無い個体がいるため、0.4匹≒0匹となり、
アブラムシの駆除完了! となります。

 以上は防除で個体数を減らしていくイメージですが、
実際にこのようにしていくと1回のローテーションで
A~Eまでの薬剤に対し感受性を持たない個体はいなくなるという考え方です
  薬剤耐性を持った個体の発生確率を下げることができるはずです。

ローテーション防除による個体数減少のイメージグラフ

 Aの薬剤を使ったときに「とても良く効いた」からとAの薬剤を使い続けると、
Aに対し感受性の無い個体ばかりを選抜していくことと同様であり、
感受性の無い薬剤をいくら散布しても効くことはなくなり、
結果として大繁殖となってしまいます。

 また、感受性のあった個体でも中途半端にかかって生き残った場合には、
本当の耐性が発現することが考えられます。

 よって、2回・3回と系統を変えて薬剤散布し、
確実に個体数を減らしていく必要があるのです 。

 このようにローテーションで防除すれば、
理論上個体数はゼロとなりますが、
実際には圃場の外から次々に害虫が入ってきますので、
継続して防除する必要があります。 

 しかし、病害虫の密度を低く抑えた状態で定期防除をしていけば、
低価格の農薬でも十分に効果を出すことができ、
追加散布をする必要がなくなれば
結果として散布量や散布回数を減らすことができます。
 耐性の発現自体も低いレベルに抑えられるのではないでしょうか。

 病害虫の密度を低く抑えることができれば、
病害虫を目にすることも少なくなり、
結果 作物の品質も上がります。

防除ローテーション見直し


こんにちは

 昨年の1029日と1222日にアップしたローテーションを
若干 見直し&修正しました。

基本ローテーション 
 こちらの方が価格の安い農薬代に種類を絞っています。
 具体的にはディアナSCを外してプレバソンに統一しています。

 プレバソンに対し抵抗性の出ている圃場も出ているらしいですが、
基本的には上記ローテーションで回して行けば、
抵抗性の危険性は少ないと考えています。
  
 比較的 低価格の農薬を中心に選択していますので、
農薬代も安く抑えられるのではないでしょうか。

上記の基本ローテーションを基に作成した2015年の防除計画

「お盆」と「お彼岸」の「物日」前には散布間隔を詰め、
出荷量の多い期間の病害虫トラブルを避けるようにしています。

 問題が出ないようであれば物日前の散布を減らして、
基本ローテーション通りでも良いかと思います。

5月と7月にデルフィンを使用していますが、
ゼンターリに統一しても構わないかとも思います。

2015年2月18日水曜日

菊栽培の経営モデル 4 夫婦の場合



おはようございます。

 前回までは1人で営農してのほぼ上限としての栽培量を例として挙げましたが、
より現実的なのは夫婦2人で1.5倍の栽培量といったところでしょうか。

 
圃場面積 30a
定植の距離 2,360m
採花数 130,600本
出荷ケース数 ,300ケース
収入見込み額 1,300ケース × 5,500円 = 7,150,000円
 
もちろん計算上の基準値ですが、十分見込める数値と考えます。

 ちなみに昨年実績で私が一人で栽培していても、
平均金額は1ケースあたり5,500円を超えています。
 品質と数量さえ確保できれば、更に上も狙えます。

 経費としては
肥料、農薬、諸材料費、荷造運賃手数料 といったところが
作付け量に比例して1.5倍になります。
 その他でも上がるものもあるかと思います。

 一人での生活は家事に取られる時間もバカにならないのですが、
二人での生活では家事の時間を分散(または吸収)することができるので、
子供がいても保育園に預けられるようになれば、
この量はそれほど無理をしないでもこなせるのではないでしょうか。

 この規模までだと、芽欠き等に人を雇わなくても
全ての作業をこなせると思います。


 更に30a位の規模までくれば
クローラー式のブーム・スプレーヤーを導入しましょう。

 その理由の大きなものとして、
面積当たりの散布量を半分にすることができるからです。

 実際に私が散布した実績では
ブーム・スプレーヤーで散布した場合(2013年実績)
11.5a 827m 250ℓ
手で竿を振って散布した場合(2014年実績)
5a 405m 250ℓ
となります。
 
 30aの散布に使用する農薬は概算で80万円
散布量を半減できれば約40万円を浮かすことも可能。

 クローラー式のブーム・スプレーヤーの価格が約200万円なので
6年間のローンを組めば33万円+利子としても、
農薬代の浮いた分でローンを支払うことができる。

7年後には、毎年40万円の経費が抑えられることとなります。

 また他にも
・防除時にホースを引き回す必要がなくなる。
・全ての通路を 竿を振りながら歩く必要がない。
・1往復で最大9通り分の散布ができる。
・散布時間が短縮できる。
・当然 減農薬
・何より楽!
といったメリットがある。

 ちなみに 共立のCBS520DX が1,941,840円で
ホームページに出ています。
 菊用としてはこれに手を加えた物になると思います。