こんばんは
防除における薬剤ローテーションの必要性について、
農薬の一つ 殺虫剤について例を挙げて説明しようと思います。
殺虫剤の効き方による分類としては以下のようなものがあります。
防除における薬剤ローテーションの必要性について、
農薬の一つ 殺虫剤について例を挙げて説明しようと思います。
殺虫剤の効き方による分類としては以下のようなものがあります。
・神経伝達系の阻害
・呼吸阻害(エネルギー代謝阻害)
・生合成系の阻害
・昆虫ホルモンの制御
・消化管に作用する結晶毒素(BT剤)
・筋細胞に作用
詳細については「農薬工業会」のHPを参照してください。
http://www.jcpa.or.jp/qa/a4_07.html
アブラムシを例に挙げますと
アブラムシは生まれて一週間ほどで成虫となり、
毎日2~3匹ほどの卵を産むようになり、
1か月ほど産卵し続けるそうです。
成虫と幼虫は数十~数百匹の集団を作り、
新芽や葉裏に集まって汁を吸うそうです。
防除のために、アブラムシに登録のある
系統の違う薬剤を5種類、A、B、C、D、E、を用意し、防除のために、アブラムシに登録のある
防除の条件を以下のように考えたとします。
・それぞれの薬剤が98%は駆除でき、のこりの2%は感受性がないとする。
・散布周期を6日に一回とし、次の散布までに個体数は20倍に増えるとする。
・仮に圃場内に1,000匹のアブラムシがいるとする。
1回目の散布
Aの薬剤を規定倍率で希釈し、散布する。・仮に圃場内に1,000匹のアブラムシがいるとする。
1回目の散布
しかし2%は感受性の無い個体がいるため、20匹が残る。
6日後までにまた20倍に増えるとして
20匹×20=400匹
2回目、Bの薬剤を同様に散布
同様に、2%は感受性の無い個体がいるため、8匹が残る。
6日後までにまた20倍に増えるとして
8匹×20=160匹
3回目、Cの薬剤を同様に散布
3回目、Cの薬剤を同様に散布
同様に、2%は感受性の無い個体がいるため、3.2匹が残る。
6日後までにまた20倍に増えるとして
6日後までにまた20倍に増えるとして
3匹×20=60匹
4回目、Dの薬剤を同様に散布
4回目、Dの薬剤を同様に散布
同様に、2%は感受性の無い個体がいるため、1.2匹が残る。
6日後までにまた20倍に増えるとして
1匹×20=20匹
5回目、Eの薬剤を同様に散布
同様に、2%は感受性の無い個体がいるため、0.4匹≒0匹となり、
アブラムシの駆除完了! となります。
以上は防除で個体数を減らしていくイメージですが、
実際にこのようにしていくと1回のローテーションで
A~Eまでの薬剤に対し感受性を持たない個体はいなくなるという考え方です。
= 薬剤耐性を持った個体の発生確率を下げることができるはずです。
ローテーション防除による個体数減少のイメージグラフ
6日後までにまた20倍に増えるとして
1匹×20=20匹
5回目、Eの薬剤を同様に散布
同様に、2%は感受性の無い個体がいるため、0.4匹≒0匹となり、
アブラムシの駆除完了! となります。
以上は防除で個体数を減らしていくイメージですが、
実際にこのようにしていくと1回のローテーションで
A~Eまでの薬剤に対し感受性を持たない個体はいなくなるという考え方です。
= 薬剤耐性を持った個体の発生確率を下げることができるはずです。
ローテーション防除による個体数減少のイメージグラフ
Aの薬剤を使ったときに「とても良く効いた」からとAの薬剤を使い続けると、
Aに対し感受性の無い個体ばかりを選抜していくことと同様であり、
感受性の無い薬剤をいくら散布しても効くことはなくなり、
結果として大繁殖となってしまいます。
また、感受性のあった個体でも中途半端にかかって生き残った場合には、
本当の耐性が発現することが考えられます。
よって、2回・3回と系統を変えて薬剤散布し、
確実に個体数を減らしていく必要があるのです 。
このようにローテーションで防除すれば、
理論上個体数はゼロとなりますが、
実際には圃場の外から次々に害虫が入ってきますので、
継続して防除する必要があります。
しかし、病害虫の密度を低く抑えた状態で定期防除をしていけば、
低価格の農薬でも十分に効果を出すことができ、
追加散布をする必要がなくなれば
結果として散布量や散布回数を減らすことができます。
耐性の発現自体も低いレベルに抑えられるのではないでしょうか。
病害虫の密度を低く抑えることができれば、
病害虫を目にすることも少なくなり、
結果 作物の品質も上がります。
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