菊は先端付近にある成長点から葉が展開し成長してゆき、
この部分が最終的に蕾となり花が咲きます。
しかし、この成長点を除去すると上方への成長が止まるため、
上方へ伸長しようとするエネルギーが茎と葉の間に出る脇芽へ移行し、
脇芽(側枝)の成長が促進される。
この成長点を除去する作業がピンチ(摘芯)となる。
この側枝から採った穂も、伏せ株から採った穂と同様に、挿芽することで増殖ができる。
また、タイミングによっては摘心した先端部分も挿芽することにより増殖できる。
ピンチの作業をするときは「芽切り鋏」を使うと便利です。
先端が比較的細長くできているので、細かい作業ができます。
使った後は塩素系の漂白剤で洗っておくのがお勧めです、
菊にウイルスやウイロイドが感染している場合に備え、
感染の拡大を抑えるためです。
(ちなみにアルコールでは抑えきれないそうです。)
以前は「金属の鋏で摘み取るとサビ病が発生する」との指導があったようで、
爪で摘み取っていたようですが、「錆」と「白サビ病」を混同した迷信のようです。
何れにしろ鋏を使って毎回錆止めをするのも大変なので、
「ステンレスの芽切鋏」を使うのが私のお勧めです。
芽切鋏は穂を採るときにも使うので、1本は持っておくと便利です。
このピンチの作業で気をつけなくてはいけないのが、
芯(成長点)を摘んだつもりが詰めていない時。
成長の過程においては植物内のエネルギーは成長点に集まるようになっていて、
成長点付近の葉が無くなったとしても成長点はからの成長は継続しているので、
しばらくすると葉が取られくびれた形となって、そのまま丈が伸びていくこととなり、
脇芽が伸びてこないという現象が発生します。
ピンチをどのタイミングで行うかと言うと
増殖の為に母株から採取した穂を挿芽し発根した苗を仮植した後
定植ピンチする作型においては定植した後
仮植ピンチした苗を定植する作型では、定植苗を仮植した後
といったところとなります。
何れにしろ増殖が目的であることには変わりません。
私の場合、これまでは挿芽の作業を始めるのが1月下旬からでしたが、
諏訪地方でも早い方では12月くらいから始めて、苗を増殖しています。