2014年12月26日金曜日

ピンチ作業

11月9日の仮植の続きです。

 菊は先端付近にある成長点から葉が展開し成長してゆき、
この部分が最終的に蕾となり花が咲きます。
 しかし、この成長点を除去すると上方への成長が止まるため、
上方へ伸長しようとするエネルギーが茎と葉の間に出る脇芽へ移行し、
脇芽(側枝)の成長が促進される。
 この成長点を除去する作業がピンチ(摘芯)となる。

 この側枝から採った穂も、伏せ株から採った穂と同様に、挿芽することで増殖ができる。
 また、タイミングによっては摘心した先端部分も挿芽することにより増殖できる。


 ピンチの作業をするときは「芽切り鋏」を使うと便利です。
 先端が比較的細長くできているので、細かい作業ができます。
 使った後は塩素系の漂白剤で洗っておくのがお勧めです、
菊にウイルスやウイロイドが感染している場合に備え、
感染の拡大を抑えるためです。
(ちなみにアルコールでは抑えきれないそうです。)

 以前は「金属の鋏で摘み取るとサビ病が発生する」との指導があったようで、
爪で摘み取っていたようですが、「錆」と「白サビ病」を混同した迷信のようです。

 何れにしろ鋏を使って毎回錆止めをするのも大変なので、
「ステンレスの芽切鋏」を使うのが私のお勧めです。

 芽切鋏は穂を採るときにも使うので、1本は持っておくと便利です。

 このピンチの作業で気をつけなくてはいけないのが、
芯(成長点)を摘んだつもりが詰めていない時。
 成長の過程においては植物内のエネルギーは成長点に集まるようになっていて、
成長点付近の葉が無くなったとしても成長点はからの成長は継続しているので、
しばらくすると葉が取られくびれた形となって、そのまま丈が伸びていくこととなり、
脇芽が伸びてこないという現象が発生します。

 ピンチをどのタイミングで行うかと言うと
増殖の為に母株から採取した穂を挿芽し発根した苗を仮植した後
定植ピンチする作型においては定植した後
仮植ピンチした苗を定植する作型では、定植苗を仮植した後
といったところとなります。
 何れにしろ増殖が目的であることには変わりません。

 私の場合、これまでは挿芽の作業を始めるのが1月下旬からでしたが、
諏訪地方でも早い方では12月くらいから始めて、苗を増殖しています。

2014年12月22日月曜日

株伏せ後 初の防除,防除計画 の作成2

 おはようございます。
 今朝は青空も広がり、所々に雲はあるものの、気持ち良い日差しが届いています。

 12月8日に株伏せが終了した後も、畑の片付けや資材の予約発注等の作業があり、
結局12月18日にやっと1回目の防除をすることが出来ました。
 本来であれば白サビの発生を防ぐために、株伏せが終わった直後に
1回目の防除をしたいところでしたが時間が経ってしまったので、
やや強めの薬剤に変更して行いました。

 株伏せ直後であれば、エムダイファーとジェイエース(オルトランのジェネリック薬剤
:オルトランより色が付き難い)で十分だと思います。
 しかし時間が経ってしまったので、
目に見えなくても白サビが出始めていると可能性を考慮し、
浸透移行性のあるストロビーを追加しました。
 害虫についても、ジェイエースから即効性が高いと思うアルバリンに変更しました。

12月18日 1回目の防除
ストロビー フロアブル,エムダイファー 水和剤,アルバリン 顆粒水溶剤

 その他の仕事として、予約資材の発注期限が12月10日となっており、
この中に農薬の注文もあり在庫を考慮しながら具体的に年間の防除計画を立て、
不足分を発注しました。

 10月29日のブログで防除の基本ローテーションを紹介しましたが、
このローテーションを元に在庫の農薬を考慮して具体的に立てた予定が以下の表です。


 この計画を元に前年までの散布量を考慮し、1年間の計画を立て


薬剤毎の必要量を計算し在庫を差し引いた分を発注すれば、


ロスを最小限に抑えることができると考えます。

 やっていることは 一見面倒くさそうに思えるかもしれませんが、
夏の忙しい時期に前後バランスを考えながら薬剤を決める必要が無いので、
実際にはとても楽になります。

2014年12月17日水曜日

今日は一日 雪

 こんばんは。
 今日は雪の一日でした。

 株を伏せ終わった後、本当は直後に1回目の消毒をする予定だったのですが、
圃場の片付けや来年用の資材の発注等があり、できないでいました。
 「今日こそは消毒するぞ」と思っていたのですが、
朝から雪が舞い気温も低いままでトンネルも開けられず断念。

 仕方ないので家の中の細々としたことをしていると、
昼近くになる頃から雪が大粒に変わり ガンガン積もりだしました。
 あまりに勢いが激しいのでビニールハウスが少し心配になり、
このまま一晩中降ったらとんでもない積雪になり、潰れてしまっては大変だと思い、
夕方4時頃 石油ストーブに灯油を入れ点火してきました。


 ハウス内の温度が少しでも上がって屋根の雪が滑り落ちれば、
潰れるのを防げるからです。
 夕方4時頃のハウスの雪はこんな感じでした。

ストーブを付けに行った15分程で車のフロントガラスに雪が積もり、前が見えなくなります。


 暗くなった6時頃には雪も止み、ホット ひと安心。

 でも明日も天気は怪しそうな予報が出ています。

2014年12月10日水曜日

定植圃場の片付け終了

 こんばんは。
 昨日と今日の作業で定植圃場の片付けが全て終了しました。

 いつもの作業の流れですと株掘りの後は、
畝を均すようにロータリー掛け、
藁や堆肥などの有機質の散布、
土壌消毒剤(バスアミド)の散布、
ロータリー掛け
と言った作業をします。

 しかし今年は作業が2~3週間も遅れており
明日からは雨や雪の予報が続いているので、
今日までが最後のチャンスということで工程をかなり端折って、
バスアミドの散布とロータリー掛けを何とか終わらせました。

 12月8日で株伏せ終了 の報告をしたのですが、
実は昨日「深志の匠」の株を少しだけ掘って来ました。
 保険という程でもないのですが、
彼岸過ぎの最後の品種としてテストしてみようかと考え、
若干計画変更です。

2014年12月8日月曜日

株伏せ4種類目が完了

こんにちは。
 昨日で4種類目の松風の陽の株伏せが終わりました。
 というか終わりにしました。
 予定の88%ほどですが、なんとかなるでしょう。

 6日に降った雪が畑にまだ残っており、
菊の株を掘ろうと思えば掘れないことはないかもしれないのですが、
寒くなってきており 11日からは雨や雪の予報が出ており、
1回はトラクターで耕しておかないといけないので、
株伏せの作業は終了としました。



八ヶ岳も6日の雪で真っ白になっています。


2014年12月6日土曜日

決算説明会

 おはようございます。
 このところ本当に1~2日置きに降ったり晴れたりが続いています。
 一昨日の朝は今シーズン初の積雪となりました。

 昨日は時々雪が舞ったりしていましたが、
太陽が顔を出していたのでハウスの中は20℃近くまで温度が上がり、
菊の株を揃えることが出来ました。
 しかし、一昨日は 朝起きたら雪が5cmほど積もっており、
一日中雪が舞う寒い天気でした。
 ハウスの中も2~3℃ くらいまでしか温度が上がらず、
剪定鋏を使っての株揃えをしようにも、
手がかじかんで仕事が出来る状況ではありませんでした。

 そんな寒い中で一昨日やった事は、朝一番でのタイヤ交換、
午後は確定申告の決算書作成の説明会 でした。

 農業を個人で経営している場合、自分で確定申告をして、所得税を納めることとなります。
 確定申告は1月1日~12月31日の1年間の収支等を計算し、
翌年の2月15日~3月15日頃に申告することとなります。
(平成26年分の申告は平成27年2月16日~平成27年3月16日です)
 農業の場合は青色申告という方法で申告することができ、
特別控除と専従者給与とが主な特典となります。
 そして、この申告をするときに収入・経費 等の損益計算をした書類を添付するのですが、
これが決算書となります。
 決算書の書き方や注意点などの説明会を、
毎年この時期に農協で用意してくれているので、出席してきました。
 税務署の職員の方が進行し税理士の方が説明するといった形で、
内容的には概ねいつも通りなのですが、1年もたつと結構忘れていることが多いので、
記憶を呼び起こすためにも毎年出席しています。

 このところ寒い日が続いていますが、11月の16日までに株伏せをした日輪の芽が、
土を持ち上げ 伸びてきました。

2014年12月1日月曜日

ヤマカワプログラム実行

 ついに12月に突入してしまいました。
 なんとか11月中に菊の株伏せを終了させようと思っていたのですが、
なかなか思うように行かないものです。

 ここのところ1~2日置きに降ったり晴れたりが続いていました。
 現在お借りしているビニールハウスが建っているところは、
圃場整備した田んぼで水はけがかなり悪い条件のところで、
雨が降ると周りから水が染み込んできます。

 昨年も冬の間お借りしていたのですが、
例の大雪の後 解け出した水が染みこんできた時は、
ロータリーをかけようとするとトラクターが傾いてしまうほど ぬかるんでしまいました。

 11月25日・26日の雨でハウスの真ん中まで染みこみ、
歩くとフワフワした状態となっています。
手前と奥の土の色の違いが判るでしょうか。

 そこで、この状態を改善すべくヤマカワプログラムを実行することとしました。

 ヤマカワプログラムを大まかに言うと、
耕盤の土を煮出したスープ・光合成細菌・酵母菌液
の三種類の液体を水で希釈し畑に散布すると、
耕盤が抜け 水はけが良くなるというものです。
 詳細は現代農業などに取り上げられているので、
興味のある方は調べてください。

 以前に水はけの悪い畑(元は田んぼ)で行ってみたところ、
梅雨時の大雨でも ぬかるむことが無くなりました。

 今回はハウスの中の水分が多いところと、
ビニールハウスの周辺に散布してみました。
 順調に行けば1周間~1ヶ月以内には何かしら兆候が見えるはずです。

2014年11月30日日曜日

株伏せ3種類目が完了

こんばんは。
 気づけば もう明日から12月、しかも もう30分ほど。
外は9時ころから雨が降っています。

 昨日で3種類目の美麻の株伏せが終わりました。
 予定より13%ほど少なかったのですが、
一昨日 雨が降る前に掘った分で終わりとしました。
 ここのところ、雨が降ったり晴れたりの繰り返しで、
雨の前に急いで株を掘っては雨の日に揃えて植え、
また晴れたら土がそこそこ乾くのを待って株を掘る、
というパターンになっています。

 11月中には株伏せを終わらせる予定でいたので、
遅れてしまっています。
 今日も雨が降る前に最後の種類 松風の陽を掘って来ました。
 明日も雨の予報となっていますが、
掘って来た分をハウスの中で揃えて伏せていきます。

2014年11月26日水曜日

株伏せ2種類目が完了

 おはようございます。
 今朝は昨日からの雨が引き続き降っています。
 夕方からは雨も止んで曇り空となるようです。

 昨日まで2種類目の千穂の株伏せが終わりました。
 予定より15%ほど少なかったのですが、
一昨日 雨が降る前に掘った分で終わりとしました。
 元々 かなり余裕を持った量の計画をたてており、
掘った株の冬至芽の出方を見ても余裕が有りそうだったため、大丈夫だろう としました。

 一昨日は雨を見越し次の種類 美麻も株掘りをして、
昨日・今日の作業分を確保しておきました。
 美麻は定植ピンチをしてあり株の一つ一つが千穂より大きいため、
調整や株伏せの作業ははかどると思います。
 
明日は最後の種類 松風の陽の株を掘る予定なので、
今日の雨が早く止んで 明日も早くから日が当たり、
なるべく 土が乾いてくれることを期待したいと思います。

2014年11月20日木曜日

株伏せで 脳トレ?

 おはようございます。
 昨日も千穂の株を揃え(調整し)て、株を伏せました。

 以前に株伏せの方法について書きましたように、
揃えた株を伏せ床に株の丈だけ掘って並べていくのですが、
株はボリュームや形が一つ一つ違うため、
綺麗に並べようとするとパズルのようになる感じがします。

 別に隙間が空いても一向に構わないのですが、
ついつい綺麗に並べたくなってしまうので、
向きや場所を考えながら並べると
「脳トレになるんじゃね?」
という感じです。
左が並べたところ、 右がこれから並べる株

 もちろんボリュームや形がバラバラでも無理やり詰め込めば、
それなりに綺麗に並べたように見えるんですが、
冬至芽が伸びた時に成長するスペースが必要なので、詰め込みすぎダメ。

 以前に見たテレビで
白い紙にランダムに点を打っていき、
全体にほぼ均等に点を配置できればOK、
著しく偏るようだと認知症の疑いがある、
というようなことを言っていた記憶があるので、
一定の面積に無駄が無いように株を配置していると、
空間把握の脳トレになるんじゃないかと思います。

さあ、今日もがんばろー!

2014年11月18日火曜日

千穂の株掘り 調整

 こんばんは。
今日は午前中に千穂の株掘り、午後は掘った株を揃え(調整)ました。
 掘った株を見ると冬至芽が株元からたくさん出ていて、
挿芽に使う穂がたくさん確保できるのではないかと期待できます。

 千穂は細かい根が少なく、太めの根が下に向かって伸びるため、
調整で株伏せに邪魔になりそうな根を切ってしまうと
ほとんど根がないようになってしまいます。
 まあ それでもまた新しい根が生えてきて、大概は根付いてしまうんですけど。

 菊って生命力が強いですね。

2014年11月16日日曜日

株伏せ1種類目が完了

こんばんは。
 ここ数日は朝の冷え込みが強まり、0℃以下となっています。
 このくらいでは畑の土も凍らないので大丈夫ですが、作業を急がねばと感じます。

今日で1種類目の日輪の株伏せが終了しました。
本当は予定より若干少なかったのですが、
冬至芽の芽吹きが多いと感じられたのでOKとしました。

明日からは2種類目の、盆前の主力品種となる千穂の株掘り・株伏せが始まります。
この種類は株伏せの量が最も多く、日輪の倍以上あるので頑張らなければ!

2014年11月13日木曜日

株掘りの始まり

 今日は1日寒く、蓼科山や八ヶ岳を見たら薄っすらと白くなっていました。

 今年~来年 春までの育苗に使うビニールハウスは、
昨年同様にトマトを栽培している方のビニールハウスをお借りできることとなり、
肥料を撒いたり、ロータリーをかけたりして、昨日から株伏せが出来る体制となりました。
黄色い線の中に株を伏せていきます

 昨日の昼過ぎに株を掘って始めようかと思っていたのですが、
いざ始めようとすると準備が出来ていないものが出てきて、
今日の昼過ぎにやっと株を掘ってきました。
 明日は朝から株の調整と株伏せが始められそうです。
この辺りの他の方は もう既に株伏せも終わり、
最後のロータリー掛けをして冬の準備といった時期です。
 畑の土が凍らない内に残りの作業をこなせるよう、頑張らないと!


 11月9日 仮植の補足です
 仮植をなぜ行うのかというと、
挿芽するプラグトレーは288穴を使っているので間隔が狭く、
大きくなると下の葉が枯れてしまうことや、
ピンチをして側枝を十分に成長させるには間隔をなるべく大きく取る必要があることと、
挿し芽の培土では肥料分が足りなくなるためです。

 挿芽の時は土に肥料分が多いと根が出る前に腐りやすいため、
培土に含まれる肥料分は少なめに抑えられています。

 仮植しピンチをし、側枝を伸ばして苗増殖するためには、
更に葉も根も元気に伸びるスペースと十分な肥料が必要となるため、
仮植という作業が必要なのです。

2014年11月9日日曜日

仮植

挿し芽をして根出しができたら、次は仮植です。

 挿し芽をして30日程度で、挿し穂から出た根がプラグトレーの中に回るようになるので、
ビニールハウスの土に仮植します。
 目安として2月の下旬頃からといったところです。

 必要となる物は以下のとおり
・肥料 千代田化成P550等の早めに効く肥料
・田引紐
・仮植床に掛ける足場
・穴あけ器
・苗置き台
・挿芽・根出しをした苗

 仮植床には予め肥料を撒き、トラクター等で土と良く混和しておきます。
田引き紐等で仮植の範囲を決めます。

 仮植床があまり乾いていると苗を差し込む穴を開けた時に崩れてしまうため、
必要に応じて水を撒くなどして水分調整をしておきます。
 仮植の直前に散水すると穴開け器に付きやすくなるので、
散水後は水が土と馴染んでから仮植を始めると良いでしょう。

 仮植床に足場を渡し、この上に乗って作業をします。
上図のような配置で作業を進めます。

 仮植の前にプラグトレーの苗に水やりをしておきます。

 穴開け器で仮植床に穴を開け、苗をプラグトレーから引き抜き穴に差し込みます。
 図では6cm間隔で4通りを1度に穴を開けていますが、
このくらい仮植したら次に仮植する分くらい足場を移動し、
また穴を開け仮植を繰り返していきます。
 (背中側へ移動していくようになります)

(動画は上の図と反対方向に進んでいます)

 半日くらいの作業を目安にタップリと潅水します。

 夕方、日が落ちるまでにトンネルを掛けます。
 被覆材はノーポリ1枚+ハイマット2枚 が目安です。

 以後の管理は、株伏せ後と同様に行い、
トンネルの開け閉め、ハウス内の温度管理、防除、潅水
といった内容を管理します。
 ※ 11月1日のブログを参照してください。

2014年11月6日木曜日

挿し芽とその後の管理

挿し芽箱の準備
プラグトレーにメトロミックスを平らに入れます。
(塊が大きい時は潰すか、フルイにかけると良いでしょう)
このプラグトレーを板の上等で、1~2cmの高さからトントンと落とし、
穴の中に詰め込みます。
(周辺の方は入り方が少なくなるため、なるべく平均的に入れるよう
少し振動を加えて詰め込みます)
更に 空いたところにメトロミックスを入れ、表面を平らにならします



挿し芽
メトロミックスを詰めたプラグトレーに、調整した穂を挿していきます。
差し込む深さは2cmくらいを目安にすると良いでしょう。


挿し芽をしたプラグトレーは、ビニールハウス内に、
下に防草シート又はラブシートを敷き、
イボ支柱を置いて、その上に並べます。

こうすることで、発根し伸びた根が土の中に入り込んでいくのを防ぎます。
※ 根は土の中では伸びますが、空気に触れると伸びる勢いが弱まるため、
プラグトレーの下に空間を作ります。
また、根が下に伸びたとしても防草シートで土の中に入り込まないようにしています。

挿し芽をしたら早めに潅水します。
量の目安としては、プラグトレーの底の穴から水が出るくらいです。
メトロミックスは軽く流れやすいため、水を置くように散水し
染みこんだら追加で散水するようにした方が良いでしょう。

挿し芽は1月下旬の寒い時期から始めるため、
苗が凍らないようトンネルを掛けて保温します。
今年のトンネルの被覆は内側から、
ノーポリ,保温シート,ハイマット2枚 でやり過ごしました。

保温シートはホットカーペット等の下に敷く、
アルミ蒸着フィルムと発泡ポリエチレンでできた、やや厚めの物です。
上記の被覆構成で、外気温-13.5℃の時に
トンネル内の最低温度は-2.7℃くらいでした。
一時的に-2~3℃くらいになるのであれば、ギリギリで凍らないようです。

発根しない状態で凍ると枯れてしまうようですので、凍らないように管理します。

2014年11月4日火曜日

挿し芽の準備

1月の下旬には育苗の最初の作業、挿し芽が始まります。
挿し芽を始める前に必要な資材を準備します。

・プラグトレー 288穴 
・メトロミックス350
・トンネル支柱
・被覆材+保温材
・防草シート又はラブシート
・イボ支柱(定植用の物を使用)

 プラグトレーは手植え用を選びましょう。
 ホームセンター等を探せば、安い物は1枚100円程度で売っています。
 定植苗用にも使いますので、定植苗に必要枚数をまとめて買ってしまうのが良いでしょう。
 メトロミックスは79L入の袋で、プラグトレーに30枚程度 詰めることができます。

 1月中旬くらいになると、伏せた株から出た冬至芽が伸び、
挿し穂が取れるくらいの丈になります。
 この伸びてきた穂を、下の葉2枚位を残して摘み取ります。
 (5cmくらいに調整しますので、使えそうにない物は残しておきます)
 芽切鋏等を使うと便利です。

 摘み取った穂は発泡スチロールの箱などに入れておけば、
保温と保湿ができて良いかと思います。

 摘んできた穂を調整します
 先端側の展開してきた葉1~2枚を残し、下の葉を取ります。
 頭の側5cm位を残して切ります。
 (折り取っても構いません。私は指で折っています)


このくらいに調整します。

 この先端側だけ使いますので、適当な大きさの発泡スチロールの箱に入れておきます。
1時間ほど作業するとプラグトレーに1枚分くらい調整できます。


挿し芽に続く

2014年11月2日日曜日

株伏せ後の管理

 今日の午前中は地区の文化祭に行ってきました
 小学校の体育館前のスペースでは、地区の役員さんたちが出店を出し、
団子や そばや おでん 等を大奉仕価格で売っていました。
 千円もあれば、全部のテントを回って食べ歩きできてしまいます
体育館の中では作品の展示や、ステージで日頃の活動の披露をしたりしていました。

 さて、先日の続きです。

 株伏せが終わったら防除です。
 殺菌剤はエムダイファー,殺虫剤はジェイエース(オルトラン)あたりを、たっぷりめに散布します。

 以後、1週間毎を目安として薬剤散布します。
・殺菌剤は 硫黄剤(冬季はフロアブルが凍ることがあるため、
エムダイファー,ジマンダイセン水和剤 等)でOK
・殺虫剤は アブラムシ,アザミウマに適用のある物を、適宜ローテーションで使用。
・殺ダニ剤は 月に2回ほど、内1回はテデオン水和剤が良いかと思います。
(テデオンはメスのダニに掛かると、生まれた卵が孵化しないという作用があるそうです。
また、使用回数の制限がないので使いやすいと思います。)

 あとはビニールハウス内の温度管理と水やり(潅水)です。
 ハウス内の温度は25℃以上にならないようにし、暖かめに管理します。
 トンネルの被覆材の開け閉めは、日が昇ってハウス内が少し暖かくなってから開けます。

 ただし夜間の温度が低く トンネル内が凍っている場合は、
トンネル内の温度が上がって十分に溶けてから被覆材を開けないと、
急激な温度変化で時間とともに萎れ、枯れてしまいます。
 逆に、根さえ張っていれば、夜間に凍ったとしても ゆっくりと溶かしてやれば、
大抵は問題なく復活します。

 ビニールハウスやトンネルを閉めるときは、
日が沈む前のハウス内の温度が温かい内に行います。

 潅水は薬剤散布の前日を目安に1周間に1回くらい行い、
乾くようであれば適宜潅水するといった感じです。
 ただし、株伏せ後 芽が吹き出すまでは土をやや湿り気味に保ちます。
写真は株伏せ後 1ヶ月位の様子です。

 あまり頻繁に水やりをすると土の中で酸素欠乏が起こり、株が腐って枯れてしまいます。

 植物体が元気な時に薬剤散布を行った方が薬害は出にくいことや、
薬剤散布後に潅水し農薬を洗い流したのでは、農薬の効果が下がってしまう
ということを考えると、薬剤散布の前日に潅水するのが理想的と考えます。

定植用の挿し芽が終わる春先まで、以上のように管理します。

2014年10月31日金曜日

株堀りと株伏せ

 こんにちは
 今日は朝から雲が多く、今は空全体が雲で覆われ薄日が当たっている程度です。
 今夜から日曜日にかけては雨の降る時間もあるようです。


 作付計画と防除計画が出来上がれば、
来年に向けての最初の作業「株掘りと株伏せ」に入りますが、
その前に もう一つ、育苗ハウスの中の配置を決めてしまいたいと思います。

 このように株伏せと仮植を配置する予定です。

 では実際に株掘りと株伏せについて、どのように作業を進めていくのか説明します。

・株掘り
 収穫後に枝などが伸び株を扱うのに邪魔な部分は、刈払い機等で刈り込む。

 鍬等で株を掘り起こす。

 余分な土を振るい落とす。


 ※ トラクターに掘り機を付けて、この作業を一気にこなす方もいます。

・調整
 雑草が絡みついている場合は取り除き、伏せ込み安い長さに調整します。
 (私の場合は10cmくらいを目安にしています)
 白さび病等の予防のため、葉はなるべく取り去ります。


 ※ 私は余分な土をわりとしっかり落としますが、
  全く落とさず掘り返したまま土に伏せてしまう方もいるようです。

・伏せ込み
 ビニールハウス内の株を伏せ込む場所に肥料を撒き、土と良く混和させる。
 今年は、1.2m✕8m✕2通り のところに以下の肥料を撒く予定。
  完熟堆肥    120kg
  緩行性化成肥料  0.7kg
  化成肥料     0.3kg
  炭酸苦土石灰   6kg

 トラクター等で肥料を混和し土が柔らかくなったところへ、
株の丈くらいの深さに土を掘り、株を並べていきます。
 

 1回に並べる幅は適宜調整してください。
 掘った土を株の上にかぶせる。
 ※ この時に根の間にも土が入るよう、株を揺すぶったりしながら土をかけていく。
 倒れている株がある場合は起こし、
丈が短い等で沈んでしまった物は周辺の株と同じ高さにに引き上げ、
なるべく平らになるようにする。
 

 理想とすれば、株の先端が土の表面から少し出るくらいにする。
 完全に埋めてしまうと、枯れたり腐ったりしてしまうようです。

 株伏せの作業をしたら、
午前・午後の1回ずつくらいは水を十分に掛けておきましょう。
 トンネルを掛け、夜間に凍りそうな日は保温材を掛けておきましょう。
 ノーポリ1枚+ハイマット2枚掛けています。

 以上で 株伏せの作業が完了します。

2014年10月29日水曜日

防除計画の作成

今日は防除計画作りです。
防除計画を作るときに意識していることがあります。
基本パターンを作り、回していく
基本パターンは1ヶ月を5パターンに分けて、6日周期で薬剤散布する
ということです。

以下に示すものは、
菊で主に注意すべき病害虫に対する対策と、
薬剤を効果的に効かせるために注意すべき点です。

害虫
・オオタバコガ,ヨトウムシ等
 満月の日にBT剤を入れ、孵化したばかりの幼虫を叩く。
 満月の2回前(12日前)にフェニックスを入れ、老齢幼虫を退治しておく。
 また、満月以前に孵化した若齢幼虫も叩く。
 満月の次の回(6日後)に、スピノエース・ディアナSC・プレバソンのいずれかを入れる
・アブラムシ・アザミウマ
 上記チョウ目害虫対策に加え効果のある薬剤を毎回入れる。
・ハダニ
 上記チョウ目害虫対策の合間に2回組み込む。
 ①成虫に効果のある薬剤と バロック・テデオンのどちらかを混用
 ②卵・幼虫に効果のある薬剤
 の2グループに分け、各グループ1回ずつ入れる。

病気
・白サビ
 なるべく系統の違う薬剤を毎回入れる。
 薬剤による汚れが心配ない期間は、硫黄剤でローテーションする。
・斑点細菌病
 定植後にスターナを1ヶ月に1回程度入れる。

薬害対策として
 乳剤を2剤以上混用しない。
 乳剤はフロアブル・水和剤と混用する。
 展着剤は、乳剤やフロアブルを使うときは使用しない。
 (ただし、特定の用途がある場合は必要に応じ使用する。)
 乳剤以外でも薬害を起こしやすい薬剤と乳剤は混用しない。

といった内容を考慮して組み上げた基本ローテーションが以下のとおりです
 今年もほぼ同様のローテーションで散布し、病害虫による被害は最小限に抑え込めた感じです。

 圃場が露地であるため、害虫は圃場の外からも入ってきて食害が必ず発生します。
 しかし、1本目に食害されるのは仕方ないとして、
2本目・3本目に被害が広がらないよう抑えこむという事を重視しています。
 圃場を良く観察し、病害虫の発生を早く見つけて必要に応じて叩く、という話もよく聞きますが、
私の場合はなかなか目を配りきれないので(基本 ぐーたら ですから)、
定期的に防除をして病害虫の密度が高くならない内に抑えこむという方法をとっています。
 病害虫の密度が高くなってから抑えこむのは大変ですし、
かえって散布回数や量が多くなることもありますし、
高い薬剤を使わなければいけなくなることもありますので、
定期散布で常に密度を抑えておく方が、コスト的にもメリットがあると思います。

このローテーションを基に、散布日まで入れた予定表を作成し、
散布量の見込みを折込み集計すれば、年間で使用する量と金額の見込みを計算できます。

2014年10月28日火曜日

作付け計画の補足

 昨日の内容について少し補足したいと思います。
補足内容は2つあり、1つ目は規模について、2つ目は計画の重要性についてです。

 1つ目の規模についてですが、もう既に菊生産をしている農家の方から見れば
「なんで こんな小さい規模でやっているの?」
と思うくらい、昨日書いた計画の面積は小さいのではないでしょうか。

 以前は実家で45aほどの面積でやっていましたが、
今年は労働力が私一人、子供を二人育てながらですので、
今年1年やってみて1人で回せるのはこのくらいの面積(17a)までかなという感触です。
 おそらく、私の現状が菊生産の最小規模と考えられるのではないでしょうか。

 いきなり大規模で農業を始めるのは難しいと思いますので、
まずは家族経営からという観点から見ていった時に、
労働力と作付面積と出荷箱数(Max)の目安は以下の通りと考えます。
単身:20a 740箱
夫婦で1人が専業:30a 1000箱
夫婦(2人):45a 1500箱
(30a,45aはブームスプレーヤの通路を考慮し、作付数量を減らしている)
 この目安は かなり効率よくやった場合で、使える農機具や環境により変わります。

 売上高は上記の出荷箱数に単価を掛ければ得られますが、
野菜等 他の作物を生産している方から見ると売上高が低いと思われるでしょう。
 しかし作付面積が小さくて済むため、
大きい農機具などは大きい物が必要ないことや、
苗を自家増殖できることなどあり、他の作物に比べ経費が想像以上に少なくて済むため
利益率がかなり高いと言えます。

 2つ目の計画の重要性については、2011年に栽培方法を大幅に変更しましたが
2010年までの平均と比較してみますと、
売上額で15%アップ 作業負荷で50%ダウン を実現しました。
 この改善を実現するためには、作業の見直し,情報収集,
実現するための具体的な計画が必要不可欠でした。

 菊は高い技術を必要とする作物であるとも言え、
「計画次第で数十万円からの収入の違いが出る」
ことは身を持って体験しているので、
 確実な収入を得るには計画が非常に重要な要素であると感じています。

2014年10月27日月曜日

まずは来年度の作付け計画

今日も昨日と同じような天気で、朝は晴れていたのですが午後になって曇ってきました。
明日の最低気温はついにマイナスになるとの予報が出ています。

 今日は、来年度の作付け計画の立て方について書きたいと思います。
 菊の栽培方法については、色々と聞いたり調べたりしてみると、地方や個人によってかなり違いがあるので、ここに書く内容は「私のやり方」と いうことで見てください。

 私の作付する圃場については、面積合計1720㎡(17a)、定植する畝の距離合計1350mとなります。
 畝は長さ45m、畝数は30本であり、ここに1目18cmが3目並んだ(幅54cm)フラワーネットを張り、3目のうちの両側のコマに1コマに5本収穫できる計算で定植します。
 フラワーネットは生育期間中に緩まないよう、かなり引っ張って張るため長さ方向に伸びてしまい、約19cmピッチとなります。
 この条件から1mあたりの収穫数は
1m÷ 0.19m✕5本✕2条=52.63本/m
となり、 45mの畝1本では 2368本 収穫できる計算となります。

 私の場合は全て露地栽培ですので、品種による開花時期の違いを利用して、品種の組み合わせで出荷タイミングを決めていきます。
来年度の予定では5品種を組み合わせて、7月中旬から10月初旬までの出荷体系を構築します。

 では実際にどのように計画をたてるかですが、
1. 圃場図に作付する品種ごとの割付をする。
2. 割りつけた植え付け距離と過去の出荷データを基に、ピークの出荷量等を考慮しながら出荷の予定をシミュレーションする。
 ※ 1. ・2. を繰り返し最終的に出荷計画を決定する

3. 出荷計画を基に定植に必要な苗の数量を計算し、数量や日程等の詳細な計画を作る。

 これで来年度の計画の骨格が出来上がります。

2014年10月26日日曜日

菊生産の仕事の概要

昨日、一昨日に続き、今朝は部屋の中に眩しい光が差し込む好天のようだったのですが、午後からは雲に覆われて来ており、夕方には雨が降る予報が出ています。

さて、昨日に引き続き私の仕事である菊生産についてです。
菊の生産者の仕事はどんなことをしているのかということで、
育苗から出荷までの主な流れを説明します

1. 収穫後に残った株を掘り起し、根や茎の余分なところを取り去り、
   ビニールハウスの中の土に伏せ込んでいく。
2. この株を冬の間、温度・水分等に注意して管理しておくと
 株から芽が伸びてくる。
3. この芽を摘み取り、調整し、培土に挿しておくと根が生えてくる。
4. この発根した苗を仮植する。
5. 仮植した苗の芯を摘む(ピンチする)と、
 茎と葉の付け根の間からワキ芽が出てくる。
 (更に増殖する場合は、2. と5. から出る穂を採り、3.~5.を繰り返す)
6-1. この脇芽を伸ばし適度な長さになったところで、苗を堀上げ
6-2. 定植する。
   潅水,脇芽の除去,病害虫防除 等の管理をする
7-1 出荷までには1mを超える草丈にする。
7-2. 適当な咲き前となったところで収穫する。
8. 病害虫による不具合等の選別をし、10本の束にした後、
 10束100本を標準にして箱詰めする。
9. JA等へ出荷する

そして、下の図が私の大まかな1年間の作業スケジュールとなります。
12月~1月もビニールハウス内の温度管理等あるので、結局1年中何かしら作業しているんですよね。

2014年10月25日土曜日

今まで意識してきたこと

おはようございます。

昨日は久しぶりに晴れ、日中は温度も上がりポカポカ陽気となりました。
午前中は下の子の音楽会、午後は上の子の授業参観と、仕事とは別のスケジュールいっぱいの一日でした。
(こういったものって意外と疲れるものなんですね)

さて、仕事の話ですが
現在の仕事、菊の生産を始めた当初から考えていた事がありました。
それは、自分が仕事を覚えていく上で、
「新しくこの仕事を始めようとしている人に確実に教える事ができるように準備しておこう」
ということです。

これはどういうことかといえば、
「教わったことは、他人教えて初めて自分の知識となる」
と だいぶ前に誰かに聞いた事があり、実際にこの言葉を意識しながら色々なことを学んでいると、
「誰かに伝えるためには 自分が得た知識をもう一度整理し直して、相手がイメージしやすい形に再構築しないと 正確に伝わらない」
と感じていました。

これらの事から、いずれはこの仕事を始めたい人の「マニュアルを作れるようにしよう」ということを常に意識してきました。
現段階では未だマニュアルという形にはなっていませんが、ある程度のデータ等は蓄積できて来ました。
このような取り組みを評価していただき、2013年2月に行われた プロジェクト活動コンクールの県大会で、最優秀賞(県知事賞)をいただけたのではないかと考えています。


今後 農業を志そうとしている方に、
「花き生産という選択肢もあるんだ」
という考えを持っていただけるよう、情報を発信していきたいと思っています。

2014年10月23日木曜日

はじめまして

はじめまして
まずは自己紹介を少しさせてい頂こうと思います。

 13年の会社勤めをした後脱サラし、2004年より就農して父母の代から行っていた菊生産を始めました。
 就農以来集めたデータや情報を基に生産方法を改善し、省力化と収入増を同時に実現しました。
 この内容は、2013年2月に開催された「明日の長野県農業を担う若人のつどい」というプロジェクト活動コンクールにおいて発表し、最優秀賞(県知事賞)を頂き、県代表として関東ブロック大会でも発表させていただきました。
 また、2013年より始まった「茅野市農業品目別アドバイザー制度」において、菊の品目別アドバイザーに委嘱されました。
 現在は訳あって実家を離れ一人で菊生産をしながら、父子3人で暮らしています。

 このブログでは、10年間で蓄えたノウハウを これから農業を目指そうと考えている皆さんに伝えたり、また自分のレベルアップにつなげたりといったことができればと考えています。

 私の住んでいる長野県茅野市は八ヶ岳の西麓に広がる高原地帯にあり、涼しい気候を利用した野菜や花きの栽培が盛んな所で、私が菊栽培をしている畑は標高約1000mのところにあります。

写真は菊を収穫した後の畑の写真です。奥の右側に蓼科山、左に車山が見えます。
今日は雨が降っているので、残念ながらどちらの山も見ることはできません。

マメに更新しようと思いますのでよろしくお願いします。